アオリの基本操作
アオリとは、フレキシブルに動く蛇腹を利用して、レンズ側とカメラ側をそれぞれ自由に動かし、ピントのコントロール、パースペクティブのコントロールをすることです。チルト、スイング、ライズ/フォール、シフトの4つのアオリ基本操作から、様々な表現効果が得られます。
ピントのコントロール
奥行きのある被写体では、手前にピンを合わせると奥がボケてしまいます。アオリを使えば奥行きのある被写体の全面にピントを合わせることができます。これは光軸を調整してピント面をコントロールする方法です。この方法を反対に利用して、一部にのみピントを合わせ、その他は意図的にボカすことも可能です。強調したい部分にだけピントが合った雰囲気のある写真に仕上げることができます。
チルト
レンズ部を左右水平方向を軸にして、前後に回転させる操作を「チルト」と言います。
スイングに対して直角に動きます。被写界深度の調整により、パンフォーカスにすることができます。
〈アオリ使用前〉
〈アオリ使用後〉
スイング
レンズ部を垂直平方向を軸にして、左右に回転させる操作を「スイング」と言います。
斜めの被写体のピントのコントロールを行います。
〈アオリ使用前〉
〈アオリ使用後〉
●チルト・スイングの応用
アオリを逆に利用して、ボケを強調することもできます。
〈アオリ使用後〉
〈アオリ使用後〉
接写
ホースマンVCCプロ-Gは蛇腹を伸ばすことで、手軽に撮影倍率を変えることができます。
被写体全体を撮影し、被写体の一部をクローズアップさせる時も蛇腹を伸ばすだけでレンズを交換する必要がありません。
〈Rodenstockロダゴン60mm使用〉
パースペクティブのコントロール
通常カメラに遠い部分は小さく、近い部分は大きく写ります。建物や箱ものの垂直線が傾いて被写体の形が変わってしまう場合には、アオリを使ってパースペクティブをコントロールし、形の歪みを修正することができます。
ライズ/フォール
レンズ部に対しバック部を垂直に平行移動させる操作で、バック部を上にあげる操作を「ライズ」、下にさげる操作を「フォール」と言います。
〈アオリ使用後〉
〈アオリ使用後〉
バック部チルト
カメラの折りたたみ機能をバック部のチルトに利用することができます。カメラを上方に向けて構えた場合、バック部のチルトでカメラを被写体に平行にすることができます。
シフト
レンズ部とバック部を水平に平行移動させる操作を「シフト」と言います。撮影範囲の調整などに使用されるアオリです。
●フレーミングのコントロール
フレーミングを調整する場合、通常の撮影では三脚ごと動かすかカメラの向きを変えるなど、カメラの位置を動かして調整しますが、アオリ機能を使うとレンズのイメージサークル内でバック部を上下左右させるだけでレンズの位置は動かさずにフレーミングをコントロールできます。
●ステッチング撮影
ホースマンVCCプロ-Gは、カメラ側にライズ・フォール、シフトアオリ機構を搭載しています。カメラ側のバックアオリを使用することで、ステッチング撮影が可能です。フルサイズセンサーで4枚ステッチングを行うと、ハイエンドデジタルカメラバックに匹敵するサイズにもなり、広角撮影の効果も得られます。精度の高いギアコントロールで画面のズレを最小限におさえ、撮影も後処理も大変楽になります。