ホースマンLD 使用感 レポート
インフォーツ(株) デジタル写真アナリスト 笠井 享
HORSEMAN LD 笠井 享

 最近ようやく、時間的にも精神的にも、自分の作品作りができるゆとりを持てるようになった(歳のせいか!)。
 もともと、若い時分は建築写真を志していたこともあり、社会人になってから「シノゴ」をかついで作品作り〜などというチャンスがなく、フラストレーションが貯まっていた。それに加えてデジタルになってからは、アオリの効くカメラシステムには、ACパワーやノートパソコンが必要など、フィールドワーク中心の建築写真は、デジタル化しにくく、屋外でデジカメでアオリを効かせて〜という活動は困難だった。

 キヤノンやニコンのデジタルSLRボディが装着できるアオリ可能なシステムは、これまでにも数種類を試してみたが、既存ビューカメラの後枠にマウントアダプタを取り付けただけという形態が中心で、何かしら消化不良を起こしてしまう。

 ホースマンLDも既存4X5判用ビューカメラボディにSLRカメラを装着するのだが、マウント接合部分が蛇腹ごとゼロから設計されているために、操作性は同種他機とは一線を画している。 その主たるポイントは、35mm判以下の像面に対する微妙なアオリ操作を行うには、焦点面とスイングやティルト軸が一致していなくては操作しにくいが、この課題を解決している点が大きい。その他、私なりに気に入った点は次のような点だ。

1)ハッセルマウントなど中判カメラのワイドレンズ(=レトロフォーカスタイプが多い)が使えるので、超広角アオリはあきらめるにしても、そこそこのワイドな画角で撮影ができるのもウレシイ。

2)LDボディの後枠の左右シフトやライズ・フォール機能を活用すれば、600〜800万画素クラス機でステッチング撮影をして、1200万画素以上の高精細・緻密な作品作りもできる。

3)ビューカメラ側レンズマウント基部がロックねじをマウントごと緩めて回転するので、縦横構図変更や微妙な水平線(垂直線)合わせ作業において、光軸を回転軸にしてSLRデジカメボディをレボルビング回転できる。どうと言うことのない機能だが、光軸中心で縦横切り換えは、実際にやってみると非常に便利である。

 ケーブル類の接続などで、一部制限もあるが、本質的な制限ではないのでまぁいたしかたないかなと思う。願わくば使わなくなって久しい大判用長焦点レンズ(210〜800mm)などを有効活用できるよう、袋蛇腹部分を標準蛇腹に変更できたらと思う。また、LDボディをデジタルSLR用に軽量化小型化するのも課題であろう。

HORSEMAN LD
アオリに関するレポート
<キャノン、ニコン共通>
■シフト
ハッセルレンズ、大判レンズ共センターより12mmは問題なし Canon 1Ds のセンサーサイズだと、Phase One のH/P25クラスと同じ36mm x 48mmの画面サイズまではステッチング可能。

■フロントティルト
ハッセルレンズでは5度〜10度の間くらい。普通の商品撮影、料理などでは充分。
大判レンズでは殆ど制限なし。

■バックティルト
実用上制限ないと言える。

★ハッセルレンズでは60mm / 80mm / 120mm は性能的におすすめできる。

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